保有は5%でも、
国債先物取引に占める外国人比率は4割
Wmodeのメールで
上念司氏の『日本は破産しない!』の問題点について書くと言っておきながら、
またまた時間が経ってしまいました。
またしても怠慢です。
書こうと思えば色々あるのですが、
一番ポイントとなるかなというところだけにしておきましょう。
「無理やり破産させようとしても、
逆に日本経済は復活してしまう」
というところです。
以下、彼の表現をそのまま抜粋します。
非常に質の低い感じが伝わってくると思いますので。
上念氏は、
「外国人が日本国債を投げ売りしはじめたら……」と題して、
こう書きます。
不安にかられた外国人は『もう日本はダメだ!』と、
手持ちの国債45兆円を市場ですべて売却しました。
45兆円の円売りが行なわれるわけですから、
1ドル=110円前後の円安になります。
現在、日本の輸出産業は円高に苦しんでいるので、
もし為替レートが一気に円安になれば、
逆風が一気に追い風に変わることになります。
また、農業や衣料品のような
海外企業と競合する国内産業は、
円安によって海外からの輸入品の値段が上がることで、
国内市場での競争力を増すことになります。
まさにいいこと尽くめです。
それゆえ、
今すぐにでも外国人に日本国債の売り浴びせを
実施してもらいたい気分ですが、
現実にはそんな動きはありません。
理由は、
フリーメイソンやイルミナティが国債保有を通じて
日本を支配しようと企んでいるわけではなく
(当たり前です)、
日本の政策当局の無能ぶりを見て、
今後も円高が続くだろうと予測をして
資産の一定割合を日本国債に割り当てているだけです。
つまり、外国人が日本国債を投げ売りすることは
あり得ないし、
もし仮にそんな事態になっても日本が破産することは
ないというわけです。
いかがでしょう。
まず、フリーメイソン云々のところは、
まともに我が国の財政に関して議論をする人は、
こんなことは言いもしませんし、
ですからこういう子どものケンカのようなレベルの低い
茶化しもやりません。
まあ、これはどうでもいい次元の話ですから、
置いておくことにしましょう。
一番、抜け落ちているのは、
誰でもちょっと考えればすぐ気付くことです。
何でもそうですが、売られたものは値下がりします。
この場合でいえば、
円の前に値下がりするのは日本国債です。
そして、Wmodeでのかじゅん婆さんの日記(10.11.29)
へのコメントでも書きましたが、
日本国債の海外投資家の保有割合は約5%ですが、
実は取引に占める外国人の割合は
もっとずっと高いのです。
公社債売買高に占める外国人の比率は約2割。
さらに、国債先物取引売買高に占める外国人の比率は
約4割にも及びます。
そして、不動産を考えていただければ
分かりやすいと思いますが、
ただ保有しているだけの人は価格形成に関与しません。
価格形成に関与するのは実際に売買している人です。
ですから、外国人投資家が国債価格に与える影響は、
一般にイメージされている「たった5%」より
かなり大きいと言えるでしょう。
再生日本21
執行役員 稻田雅彦
補足です。
外国人投資家の国債市場に対する影響力が大きくなっていることは、下記URL(国際投信投資顧問2008年7月号投資戦略マンスリーレポート)をご参照下さい。
http://www.kokusai-am.co.jp/report/monthly/2008/0807/02.pdf
投稿情報: 稻田雅彦 | 2010年12 月17日 (金) 10:06