日本国債の金利が世界一低いのは、
世界一安全だからではない
なお、上念氏は同書の別の箇所で
「日本国債の安全性は世界最強」と題して、
国債金利の話をしています。
ですから、金利という発想が全くないわけではありません。
しかし、この部分も抜粋しますが、
これまた長期金利に関する基本的認識すら
されていないのです。
まずは、上念氏の文章の抜粋です。
日本国債の安全性は世界最強です。
これは私が勝手に言っている話ではなくて、
世界がそう評価しているのです。
各国の長期金利の利回りをチェックしてみましょう。
日本国債の金利の低さはダントツです。
つまり、日本国債は買いたい人がたくさんいて、
人気があり、価格も高く、
市場の信頼度はどの国よりも格段に高いのです。
「ふ~ん。そうなのかあ」
と思われた方もいるかもしれませんが、
ここでちょっとインターネットで
「長期金利の決まり方」を検索してみて下さい。
するとWikipediaなど色々出てきます。
基本的にはどれも大きな違いはありません。
ここでは、日銀のホームページから抜粋します。
長期金利と短期金利の決まり方の違い
まず、長期金利は、短期金利とは決まり方が大変違う、
ということにご注目下さい。
短期金利の代表は、
「無担保コールレート(オーバーナイト物)」ですが、
これは日本銀行の金融調節によって
コントロールされています。
これに対して長期金利は、
その時点の金融政策の影響も受けはしますが、
それとは別の次元で、
長期資金の需要・供給の市場メカニズムの中で決まる
という色合いが強く、
その際、将来の物価変動(インフレ、デフレ)や
将来の短期金利の推移
(やこれに大きな影響を及ぼす将来の金融政策)
などについての予想が大切な役割を演ずる、
という特徴があります。
日銀の文章ですから、
やや難しく感じられたかもしれませんが、
要は、長期金利の決定要因としては、
インフレ・デフレ予想、将来の短期金利の推移予想が
大きいということです。
日本は今後もデフレが続き、
中長期的にも短期金利(政策金利)は
低く抑えられるだろうと予想されているので、
日本国債の長期金利は世界一低くなっているのです。
こんなことは、金融の世界の人間にとっては常識です。
もちろん、上述した最近の「PIIGS」国債の
利回り上昇に見られるように、
上記にリスクプレミアム要因も乗っかりますが、
「日本国債の安全性が世界最強」だから
日本国債の金利が世界で一番低くなっているわけでは
全くありません。
なお、上述のように、
筆者は上念氏の素人論に反論してきましたが、
では近いうちに外国人投資家が
一斉に日本国債を売りに出、
日本国債急落→長期金利急騰となると、
予想しているわけではありません。
日本はまだ経常黒字国です。
経常黒字国であるということは、
海外から稼いでいる、
稼げているから
国内の資金重要も国内で賄えている、
そういう状態であることを意味します。
ですから、国債価格も安定的ですし、
外国人が国債暴落を仕掛けたとしても
成功する状況ではないのです。
しかし、
経常赤字になれば状況は全く変わってきます。
その前に、貿易赤字が慢性化するようになれば、
市場はその先にある経常赤字を織り込んでくるでしょう。
今は安定している国債市場も、
そのあたりから変調してくるのではないかと考えています。
再生日本21
執行役員 稻田雅彦
「国財なくして国家なし、国家なくして民生なし」です。日本国民は小学生から大学生に、親たちが残した「この国債を支払う」よう教育しなければなりません。なぜなら国債を発行した現在の多くの国民が亡くなってしますからです。
どこの国でも消費税・付加価値税・環境税等の名目で20%~30%程度の税金を取っております。「税金を上げる前にやることがある」といったマスコミや政治家は何をしたのでしょうか?・・・・国債を発行するしかありませんでした。現在も行っております。
熱い湯に入った蛙はすぐに飛び出します。しかし、ぬるま湯につかっている蛙は安全だと思って逃げ出さず、体力を失って、茹で蛙と死んでしまいます。国民も「茹で蛙」となてはいけません。
日露戦争時には国民は40%以上の税金を払いました。植民地や属国になればどのようになるかを知っていたから、誰も文句を言いませんでした。
こんなに多額の国連分担金の支払いもも見直しましょう。自国も防衛できない国が理事国にはなれません。国民は国のことを良く考えなければなりません。
投稿情報: 古川典保 | 2013年4 月 7日 (日) 19:16
古川さま、コメントありがとうございます。
一つひとつのコメント、みなそのとおりだと思います。特にラストの「国民は国のことを良く考えなければなりません」。まったく同感です。
3/28付の産経新聞に龍谷大学名誉教授の池田省三さんが「介護保険への遺言」と題していい文章を寄稿されていました。中で「今は自助、互助の分からない人が公助を叫びすぎます」と訴えられていましたが、国の財政悪化の主因は社会保障。もらいたがりの国民が国をじわじわ、破産と崩壊に向かわしめているのです。にもかかわらず、それを国民に問うリーダーは現れず、国民はまさに「茹で蛙」状態。
安倍さんには期待する部分も大いにありますが、こと経済財政に関しては、アベノミクスの教祖・浜田宏一氏は、上念司などを高く評価し、消費税と社会保障を結びつけて思考することすらない人物ですから、安倍さんでも国民に自覚を問うことは期待できないなあと諦観している昨今です。
追伸:ところで古川さま、よろしければ4/16(火)の「アベノミクス徹底分析」講演会にいらっしゃいませんか?
http://www.dainikaientai.co.jp/img/130220_shijuku.pdf
投稿情報: 稻田雅彦 | 2013年4 月 8日 (月) 11:06