わずか1%の金利上昇でも将来に大きな影響
ですから、もし本当にたった5%の外国人が
一斉に日本国債売りに出れば、
日本国債は急落します。
国債価格が急落するということは、
金利は急騰するということを意味します。
最近も、アイルランドやポルトガルといった
ヨーロッパのいわゆる「PIIGS」と呼ばれる国々の国債が
財政懸念から売られ、
国債利回りは大幅に上昇したことが報じられていました。
「国債売り=国債利回り上昇」
というのは一見どういうことか分かりにくいですが、
要は信用を失って国債が売られる
→国家が借りる借金の金利が上がる
ということです。
毎日、日経新聞などで報じられている長期金利というのは、
10年国債の利回りのことですが、
国債は10年債だけでなく、
1年以下の短期債から10年超の超長期債
(40年債などというのもあります)まで、様々です。
そうした様々な国債の平均利率は、
平成17年度から21年度までほぼ1.4%という
極めて低い水準で
ほとんど変わっていません。
しかし、にもかかわらず利払い費は、
17年度には7.0兆円だったものが、19年度は7.4兆円、
20年度は7.6兆円、21年度は7.7兆円と、
じわじわ増え続けています。
利払いのもとになる借金本体が増え続けているからです。
そこに外国人の国債売りに伴う金利上昇が加わったら
どうなるか。
財務省の試算によれば、
平成23年度以降、10年国債の金利が
想定より1%上昇した場合、
23年度の国債費(国債の償還・利払費)は1.1兆円増。
低い金利の借金は返して減り、
高い金利の借金はどんどん増えていくので、
たかが1%と言えど翌年度以降その影響はさらに膨らみ、
24年度は2.6兆円増、25年度は4.3兆円増となります。
現在の財務省の試算では、25年度の国債費は27.9兆円。
(元々財務省の試算は、
若干の金利上昇は織り込んでいますが)
それに4.3兆円加算しますと、32.2兆円。
ちなみに直近の平成21年度決算の税収は38.7兆円です。
これと比べていただくと、
いかに大変な事態になるかお分かりいただけるでしょう。
上念氏の話には、
国債売りに伴う最も顕著な現象である金利上昇、
そしてそれにともなう一段の財政逼迫が、
全く抜け落ちているのです。
再生日本21
執行役員 稻田雅彦
補足です。
上記財務省試算の詳細は、下記URL(平成22年度予算の後年度歳出・歳入への影響試算)をご覧下さい。
http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/h22/sy2202a.htm
投稿情報: 稻田雅彦 | 2010年12 月17日 (金) 10:10