明治維新では、西洋科学技術文明を取り入れるために「神仏儒の破壊」「自然環境破壊」「コミュニティの破壊」を行ないました。これは、西洋科学技術文明を取り入れ、中央集権化を進める過程で行なわれたものでした。
このことが、「日本人の心」を崩壊させるきっかけとなったのです。
それでは、この3つの破壊について詳しく見ていきましょう。
◇「神仏儒の破壊」
明治維新のリーダー達は、西洋科学文明を取り入れるにあたり欧米諸国を歴訪した(経緯は「米欧回覧実記(久米邦武著/岩波文庫)」などに詳しい)。その中で、西洋科学文明の背後には「キリスト教文化」があることを見抜いた。
一神教であるキリスト教は「すべては創造主が造りたもうたもの」という世界観を持っている。「すべてを創造主が造ったのならば、その背後には必ず一定の法則があるはずだ」という考えから発達してきたのが西洋科学だからだ。
日本が西洋科学文明を取り入れることは、同時にキリスト教文化を取り入れることになる。
しかし、多神教の日本とはあまりに異質な文化であるため、キリスト教文化をそのまま導入することは、大きな混乱や人々の反感をともなう。
そこで明治のリーダー達は、日本人にも受け入れ易い、キリスト教のような一神教文化を「新設」することにした。それが「万世一系の天皇」を頂点とする「国家神道」だ。
具体的には、それまで全国各地で、自然発生的にあった神社を統廃合し、キリスト教における教会のように組織化した。また、神仏分離令によって、摺合していた神社と寺院(神宮寺など)を分離した。
さらに、これまで教育・学問の中心だった儒学や国学を捨て、実学(=科学技術)中心の「洋学」が教育の中心となった。そのため、精神道徳を修養する力が衰えることになった。
これらの結果、日本人の心を育んできた「神仏儒の摺合」が解体されていった。
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