これまで、「日本人の心」はなぜ壊れたのか、について見てきました。そのきっかけは「明治維新」でしたが、さらに追い討ちをかけたのが「太平洋戦争の敗戦」でした。どん底まで落ちた貧しさの反動が、「物質中心主義」を加速させたのです。
しかし、日本人の心が失われたのは、物質的貧しさだけが原因ではありませんでした。戦勝国によって「押し付けられた民主主義」が、さらに日本人の精神面の混乱に拍車をかけたのです。
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民主主義の本質とは、「一部の貴族や特権階級が国や社会を動かすのではなく、一般の民衆が国や社会の中心であるためにどうしたらいいか、“民衆が考えて行動し続けていくこと”」にある。
民衆が国や社会のために行動すること(=義務)と、民衆が国や社会に対して要求すること(=権利)は表裏一体の関係にある。
しかし、「押し付けられた民主主義」では、こうした民主主義の本質は十分理解されず、多数決や権利の主張など「民主主義の表面的な部分」ばかりが受け入れられてきた。
そのため、権利ばかりを主張して、義務を果たさないといった、「間違った民主主義」が横行することにもなった。
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なお、民主主義とはデモクラシー(Democracy)の訳語で、「人民の権力」を意味するギリシア語が語源だ。そのため、民主主義の反対は(敢えて言うなら)、君主制(Monarchy)となる。
そもそも「~主義」というのは英語の「ism」(イズム)の訳語だ(資本主義=capitalism、共産主義=communism など)。そのためデモクラシーの訳語は民主主義ではなく、「民主制」や「民主政治」という訳の方がより正確だという意見もある。
ただ現代の日本では、一般的には民主主義という言葉は、社会主義国家や共産主義国家に対する民主主義国家、というように使われている。そのため余計に、民主主義という言葉の本来の意味が分かりづらく、混乱に拍車がかかっている面もある。(続きます)
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