(第二部講演 「日本の明日の国の形を求めて―江戸時代を一つのモデルとして―」
講演者:飛岡健 の続きです)
◇資源の利用、リサイクルについて
かつては先進国が途上国の資源を奪い、豊かな生活をしていました。現在の資源価格の高騰は、資源国から先進諸国への反撃といえます。このような世界情勢の中、日本はどういう戦略をとるべきでしょうか。
江戸時代は完全循環型のエコ社会でした。特に江戸では、下駄直し、鋳物直し、瀬戸物接ぎ、提灯の張り替えなどのあらゆる道具の修理業者がいました。また、紙屑拾い、灰屋、鉄屋などリサイクル業が高度に発展して、庶民の生活レベルまで浸透していました。
例えば当時は、庶民が一生のうちで持てる服は4~5着でした。服は繰り返し修繕し、汚れてボロボロになったら雑巾などにして、最後は灰にして肥料として土に返しました。
また、服の作りも糸を抜けば布に戻り、仕立て直し易いつくりになっていました。
これは住宅でも同様で、柱に釘などを使わず、解体し建て直すときに資材を再利用できるようになっていました。
つまり日本列島の中だけで資源を上手く循環させていたのです。
◇日本の次の選択肢
現代の日本も、完全な鎖国とまではいかなくても、不要なものは輸出入しないという方法も、ひとつの選択肢としてあるのではないでしょうか。
確かに日本の経済は、車や電気製品などの輸出によって支えられています。経済を引っ張っている輸出をストップするのはとんでもない、という意見も当然あるでしょう。
しかし、そうではなくて発想を転換しても良いのではないでしょうか。「もっと頭を使って工夫する」「環境が壊れないようなものを生み出して、それをこれからどんどん輸出する」という発想があっても良いのではないでしょうか。
この発想の転換こそが、これからの日本の課題です。
「新しい国の形を考える」
それを私達の間から生み出して行きたいと考えています。
(第三部 討論会に続きます)
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