今のご時勢、世界中で金融危機の大騒ぎだ。アメリカが最新の金融工学を駆使してつくったデリバティブって奴が原因だなんていわれている。日本はそっち方面に出遅れていたから、欧米よりは被害が少なかったとかなんとか。
まあいずれ日本の経済にも影響が出てくるだろうが、ちょっと前までは「日本人は金融システムの発展が遅れている」なんて言う評論家も多かったみたいだ。
では本当に日本人は金融が苦手なのか、っていうとそうでもない。実は江戸時代の日本では、当時の世界と比べても高度な金融システムが出来上がっていたのさ。
1730年に開かれた大坂の堂島米会所では、米の現物と先物の取引がされていた。これは世界初の公的な先物取引市場だ。米相場で利益を上げる相場師までいたって言うから恐れ入る。
外国で本格的な商品先物取引ができあがったのは19世紀っていうから、ずいぶんと先を進んでいた。
庶民の普段の買い物でも、決済は盆暮れ二回の掛売り方式。これは現代で言えば、クレジットカードで買い物するようなもの。つまりクレジット機能に似た信用システムがすでにあったわけだ。
さらに現代でいう為替相場まであった。江戸など東国では金貨、大坂など西国は銀貨が中心。さらに普段の支払いには銭貨も使っていた。そこでそれぞれを両替するときの相場が立った。毎日交換比率が変わる変動相場制だった。現在の外国為替市場と同じ仕組みだ。
他にも手形での決済もあったから、支払いのたびに大判小判を大量に運ぶ手間も省けた。つまり、今ある金融システムのほとんどは江戸時代にすでにあったことになる。
明治維新で日本が経済的に発展できたのも、こうした基盤がすでに江戸時代にあったからさ。
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