(第二部講演 「日本の明日の国の形を求めて―江戸時代を一つのモデルとして―」
講演者:飛岡健 の続きです)
◇教育・精神性について
江戸では、武士道や商人道、江戸しぐさなどの高度な倫理観、マナーなどが発展しました。一例として、藩士の子供が初登庁の時(いわば初めて仕事に就く時)、母親は「何かあったら、命を投げ出しても頑張りなさい」と言って、送り出したといいます。
現代の母親は反対に「仕事で何かあったら逃げ出しなさい」と言って送り出しています。
アメリカの第35代大統領、ジョン・F・ケネディは演説の中で「国が自分に何をしてくれるかではなく、自分が国に何をできるかを問いなさい」と語りました。
民主主義の本来の意味は、義務があってこそ権利があるという考え方です。しかし現代では、義務を果たさずに権利ばかり主張しています。
◇政治システムについて
現代の日本には本来の意味での三権分立がない状態です。
三権分立とは、立法府(国会)が法律をつくり、行政府(省庁)が法律に従って実行し、司法(裁判所)がその法律は正しいかチェックする、という役割分担になっています。
しかし今の国会議員は、法案を官僚に作らせています。つまり、行政が法律を作り、自分たちでその成果を見ているという、マッチポンプの状態です。また裁判所は法律に従うだけで、その法律が正しいかどうかをチェックしていません。
江戸時代の政治システムでは、お互いのチェック機能がきちんと働くようにできていました。幕府は各藩に、高度な自治を任せていましたが、一方で落ち度があれば取り潰すなど、両者の間に緊張関係が保たれていました。
また、幕府の内政に関しても、老中同士は合議制で、さらに将軍を輩出する家を絞らず御三家、御三卿を制定しており、お互いがお互いをチェックするように働いていました。
(続きます)
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